テラクラシック(LUNC)

信頼の理由

テラクラシック(LUNC)とは?

テラクラシック(LUNC)は、以前Terra(LUNA)として知られていた仮想通貨です。テラエコシステムのネイティブガバナンストークンとして機能していました。

2022年、複数の要因によってTerraのアルゴリズムステーブルコインであるUSTが崩壊。新しいTerraチェーンが確立した後、仮想通貨LUNCが誕生しました。

テラクラシック(LUNC)の特徴

仮想通貨LUNCはUSTと連動し、USTが安定価格を維持する「ステーブルコイン」として機能することを目的としていました。USTをアルゴリズムで管理し、USTの価値が1ドルになるよう調整していたのです。具体的には、以下のようなシステムで稼働します。

  • USTが1ドル以上(ペッグを上回っている)の場合:USTの供給を増やす
  • USTが1ドル以下(ペッグを下回っている)の場合:USTをバーンして供給を減らす

例えば、USTがドルペッグを下回って取引されている場合は、USTをバーンしてLUNCを発行します。逆にUSTがドルペッグを上回って取引されていた場合、LUNCをバーンしてUSTを発行し、価格を戻します。

上記のようにLUNCとUSTの供給量をコントロールすることで、市場動向に関係なくUSTの価格を1ドルに維持できるのです。Defiの流動性プールにおいても、重要な存在となっていました。

テラクラシック(LUNC)が暴落した理由

2022年4月、LUNCは史上最高値の約120ドルを記録しました。しかしその後トークンは暴落し、価格は0.00001675ドルにまで下落します。

暴落の主な要因は、以下のとおりです。

  • 約20億ドル相当のUSTがステーキング解除され、数億枚がすぐに売却されました。Defiプロトコルであるアンカープロトコルは、UST預金に対して最大19.5%の利回りを提供し、ステーブルコインとしての人気を獲得していましたが、システムは崩壊します。
  • 突然の大量売却により、USTの価格は0.91ドルまで下落。「1USTは、常に1ドル相当のLUNAと交換できる」という理由から、人々はLUNCを急いで購入しました。いわゆるパニック買いです。
  • USTをLUNCに交換すると、新しいLUNCが発行され、供給が増えて価格も下がります。USTの売り圧により価格が下がると、1ドル相当のLUNCと交換するために必要なUSTの量が増えます。その結果、さらに多くのLUNCが発行され、供給が増えて価格がさらに下がるという悪循環に陥りました。
  • トークン需要の急増は、ビットコインを含む仮想通貨(暗号資産)業界全体の市場の低迷と重なり、LUNCの価格はさらに下落。LUNCの時価総額がUSTを下回ったため、重大な問題が発生します。
  • USTはアルゴリズムでLUNCと連動していましたが、USTの時価総額をLUNCと交換できなくなったため、LUNCとのペッグが解除されました。UST価値の下落はトークンに直接影響を及ぼし、驚くべき速度で暴落しました。

LUNCの供給が突然増加し、USTのペッグ解除と相まって、LUNCの価格は下落しほぼ価値のないトークンになってしました。暴落の原因となったUSTのステーキング解除と売却の理由は、いまだに明らかになっていません。テラエコシステムへの悪意のある攻撃だと推測する人もいますが、主張を裏付ける具体的な証拠はありません。

過去にもアルゴリズム型ステーブルコインが暴落したケースは存在しますが、LUNA-USTの崩壊は最大規模と言えます。当時の時価総額10位のLUNAと、時価総額3位のステーブルコインUSTが暴落するという衝撃的な出来事でした。

テラクラシック(LUNC)の再建計画

Terraブロックチェーンの崩壊後、TerraformLabsの創設者ド・クォン氏は、ハードフォークとUSTの放棄を含む復活計画を提案しました。計画は実行され、Terraネットワークは2つのチェーンに分割されます。

最初のチェーンは「クラシックチェーン」と呼ばれ、古いLUNAはルナクラシック(LUNC)に変換されました。新しいチェーンはLUNA2.0と呼ばれ、トークンはルナ(LUNA)です。ルナコインとも呼ばれる仮想通貨で、現在はステーブルコインの機能をなくし、DeFiなどで活用されています。

LUNCは仮想通貨としてLUNA2.0と共存しますが、新しいチェーンは開発者コミュニティによって優先的にサポートされます。Terra用に開発された分散型アプリケーション(DApps)はすべてLUNA2.0で展開されるのです。

新しいTerraの仮想通貨LUNAは、LUNCとUSTの元の保有者にエアドロップされました。LUNAの総供給量は10億トークンで、25%がコミュニティプールに、5%が開発者に、70%がLUNCとUSTの保有者に付与されています。

テラクラシック(LUNC)コミュニティのサポート

多くの投資家やトレーダーがド・クォン氏の計画に反対したにも関わらず、LUNCはコミュニティの維持に成功しました。実際、コミュニティは衰退中のプロジェクトを復活させるためにさまざまな取り組みをサポートしています。

コミュニティは、LUNCの供給量を減らしトークンの価格を上げるために、できるだけ多くのLUNCをバーンすることに同意しました。さらに、すべてのトランザクションに対して1.2%のバーン税を導入しています。世界最大の仮想通貨取引所であるバイナンスも、供給量を減らすためにLUNCをバーンしました。

LunaBurnTrackerのデータによると、これまでに683.2億以上のLUNCがバーンされています。LUNCの今後を予想するのは難しいですが、コミュニティの存在が良い影響を与えることは間違いないでしょう。

結論

テラクラシック(LUNC)仮想通貨は、Terraブロックチェーンのネイティブガバナンストークンであり、USTと連動して安定した価格を維持することを目的としていました。しかし、急激な売りとビットコインやイーサリアムに代表される仮想通貨市場の急落により、両コインに悪循環が引き起こされ暴落します。

テラクラシックチェーンは新しいチェーンLUNA2.0の完成後、開発者コミュニティから大きく取り残されていますが、活発なコミュニティは依然として存在します。コミュニティは、トークンバーンを含むプロジェクト復活のためのさまざまな取り組みをサポートしてきました。

参考記事

LUNA-USTショック考察(SBI VC Trade)

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ルホラミン・ハクシャナス
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ルホラミン・ハクシャナス
暗号資産ジャーナリスト

ルホラミンは、3 年以上の経験を持つ仮想通貨/金融ジャーナリストです。 Techopedia以外にもCryptonews、Investing.com、24/7 Wall St、The Tokenist…...