SRC-20

信頼の理由

SRC-20とは?

SRC-20は、ビットコインブロックチェーン上で使われるトークンの規格です。元々はイーサリアム(ETH)で使われているERC-20トークン規格を参考にして作られています。

SRC-20を利用して作られた作品は、ビットコインスタンプと呼ばれています。ビットコインスタンプ(Bitcoin STAMPS)は「Bitcoin Secure Tradeable Art Maintained Securely」の略で、日本語にすると「ビットコイン(BTC)で保護され、安全に維持される取引可能なアート」です。SRC-20の意味を的確に表現していると言えるでしょう。

SRC-20の規格の存在により、トークンはスマートコントラクトのルールに従って作成・管理されます。結果として、トークンの保管や取引が簡単になり、異なる仮想通貨ウォレットやアプリケーション間でスムーズに移動できるのです。

SRC-20の特徴

SRC-20は、2023年3月に導入された、ビットコインブロックチェーン上でデジタルアート作品(ビットコインスタンプ)を作成および管理するための標準規格です。SRC-20を利用することにより、デジタルアートはビットコインで保護され、取引可能なアート作品として永久に保存できるのです。

過去のビットコインスタンプは、2014年にビットコインブロックチェーン上に構築されたピアツーピア(P2P)プラットフォームであるカウンターパーティプロトコルを使用していました。カウンターパーティプロトコルでは、スマートコントラクトを実行するためにBTCをバーン(消去)し、カウンターパーティのXCPコインと交換します。

ビットコインスタンプを作成するプロセスでは、まず画像をテキストに変換し「Stamp:」というプレフィックス(単語の前に付けて新しい意味を追加する接頭辞)を追加し、Base64ファイルとしてエンコード(変換)します。その後、エンコードされたファイルをビットコインネットワークに送信し、検証された後、元のファイルに再コンパイル(再構築)するのです。

SRC-20トランザクションは現在、ビットコインブロックチェーン上で直接作成されており、カウンターパーティプロトコルではサポートされなくなりました。BTCをバーンしたり他の暗号資産(仮想通貨)を使用する必要がなくなり、シームレスな取引が可能になったと言えます。

SRC-20は、バイナンスブロックチェーン上のトークン作成を管理するBRC-20標準に似ていますが、データの埋め込みには異なるアプローチを採用しています。ビットコインスタンプは、ビットコインのNFT(非代替トークン)と呼ばれることが多いですが、データはトークンに添付されるのではなく、ビットコイントランザクションの未使用トランザクション出力(UTXO)に直接追加されます。アートはブロックチェーン上に永久に保存され、削除されることはありません。

SRC-20トークンの作成に必要なフィールドが正しく含まれていないと、トランザクションは無効となり、ビットコインスタンププロトコルインデックスやAPIに表示されない可能性があるので注意が必要です。Chromeなどで利用できるスタンプウォレットを使用すると、ユーザーはSRC-20トークンを作成、公開、転送できます。

他にもSRC-20とよく似たシステムとしてビットコイン・オーディナルズ(オーディナルNFT)が挙げられます。両方ともビットコインブロックチェーンを利用してデジタル資産を作成するためのアプローチですが、違いも存在します。。SRC-20はデータの永続性に優れており小さな画像の保存に特化していますが、オーディナルズはより大きなデータと多様なデータ形式に対応しています。それぞれのプロトコルには独自のメリット、デメリットがあり、用途に応じて使い分けることが大切です。

SRC-20のメリット

SRC-20を利用するメリットは、以下のとおりです。

  • トークン作成の効率化:SRC-20では、BTCや他のトークンを焼却する必要がなく、ブロックチェーントランザクションにデータが直接組み込まれます。
  • アクセシビリティの向上:部分所有が可能になり、多額の資金を先行投資することなく、個人が資産の一部を所有できるようになります。アクセシビリティが向上することにより、幅広いユーザーに新たな機会が提供されます。
  • 取引の合理化:個別のNFTを作成するのではなく、スマートコントラクトを使用して画像とテキストをブロックチェーントランザクションに添付します。

SRC-20のデメリット

SRC-20のデメリットは、以下のとおりです。

  • スケーラビリティ:多くのブロックチェーンベースのシステムと同様に、SRC-20が動作するビットコインブロックチェーンはスケーラビリティの課題に直面しています。取引数が増えると、ネットワークが混雑し、決済が遅れ、取引手数料が増加する可能性があるのです。
  • セキュリティリスク:スマートコントラクトとプロトコルのコーディングに脆弱性があると、セキュリティリスクが生じ、トークン所有者が経済的損失を被る可能性があります。開発者は、最新のセキュリティ脅威とベストプラクティスを常に把握しておく必要があります。
  • 規制上の課題:世界中の規制当局のデジタル資産に対する姿勢は絶えず変化しており、規制の枠組みやコンプライアンス要件をめぐる不確実性を生み出しています。法律や規制に対し、常に注意を払うことが重要です。

結論

SRC-20は、ビットコインブロックチェーン上に画像形式でアート作品を埋め込むための新しい標準規格です。SRC-20は部分所有を可能にし、取引を合理化することでアクセシビリティを向上させ、流動性を高めます。

SRC-20は、ビットコインブロックチェーンにデータを直接埋め込むことで、アート作品を永続的に保存します。トークンの保有者は、特定のアート作品の一部を所有することができ、高額な資金を用意せずともデジタルアートに投資できるのです。

またSRC-20トークンの取引は、スマートコントラクトを使用することで合理化され、取引プロセスが簡素化されます。ユーザーはより簡単にトークンを売買でき、デジタルアートの流動性が向上します。

仮想通貨のトークン化に関しては現在も進化が進んでおり、SRC-20も運用方法において継続的な革新が見られます。今後もさらなる発展が期待されるSRC-20トークンは、デジタルアート市場に新たな可能性をもたらすでしょう。

参考記事

What Are Bitcoin STAMPS? An Introduction to SRC-20 Tokens(Unchained)

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ニコール・ウィリング
Technology Journalist
ニコール・ウィリング
テクノロジージャーナリスト

ニコール・ウィリングは、20年にわたる執筆と編集の経験を持つプロフェッショナルのジャーナリストです。彼女の専門知識は、テクノロジー業界と金融業界の両方をカバーします。商品、株式、仮想通貨などの市場だけ…...